治る認知症もある !

認知症はさまざまな病気が原因となって発症していますが、なかには治るものもあります。

およそ認知症の患者全体の約1割が治療可能な認知症である、といわれています。そうした治療可能だという状況に加えて、認知症は、早めに治療を開始する場合ほど、症状の進行を遅らせることができる場合もあり、改善につながる可能性がある病気でもあります。

治療の開始が遅れてしまった場合でも、何も治療しない場合と比べたら治療効果がみられます が、早めに治療を開始したときほどの治療効果は期待できないのも事実なようです。

こういっ た状況があるからこそ、認知症を治療するためには、「早期診断・早期治療」が非常に重要なのです。

認知症は治らない病気と一般的に理解されていますが、そうとは言い切れないのが実際のところです。

その理由は、認知症の原因にはさまざまなものがあり、中には適切な治療をほどこすことで治るものもあります。その1つが「突発性正常圧水頭症」です。

これは脳や脊 髄の表面を循環している脳脊髄液の流れが悪くなって停滞し、脳室が広がってしまう病気で、 具体的には、歩行障害、認知症、尿失禁などの症状が起こります。

この場合は、外科手術によって治療することができます。その他にも、脳腫瘍や代謝障害によって引き起こされた認知症の場合は、治療の余地があります。

しかし残念なことに患者数の多い「アルツハイマー型認知症」 や「脳血管性認知症」については、今のところ完全に治す方法はありません。

ただ、最近では認知症の周辺症状(せん妄や徘徊など)に効果のある薬が多く開発されているため、これらを服用することで、症状をコントロールできるようになり、それなりに落ち着い た日常生活を過ごされる方も増えてきました。

認知症は、その疾患によって 「治療可能なもの」、「予防が重要なもの」、「治療不可能なもの」 に大きく分けられます。

 

■治療可能な認知症

外科的疾患:慢性硬膜下血腫・脳腫瘍

突発性正常圧水頭症内科的疾患:甲状腺機能低下症

代謝性疾患:ビタミン欠乏症、感染・炎症性疾患:脳炎・髄膜炎

 

■予防可能な認知症

脳血管性認知症の治療などの薬物があります。

これらの薬物療法は、多種類の薬を長期にわたって使います。

現在の医学では、認知症の発症そのものを抑えること、中核症状に対する特効薬はまだ発見されていません。

しかし、日々進化する現代の医学技術の進行によっては、将来的にはありうるのかもしれません。